「失敗から最大の学びを得る」ためのマインドセットとは:The Testing Groundブライアン氏インタビュー

「失敗から最大の学びを得る」ためのマインドセットとは:The Testing Groundブライアン氏インタビュー
The Testing Ground創業者のBryan Long氏

シンガポールに本社を構える「The Testing Ground(ザ・テスティング・グラウンド)」は、リーンスタートアップを実践するためにチャレンジする企業に対して、そのプロセスのサポートや、それらのマインドセットを学ぶためのレクチャーを実施しています。

今回は、創業者のBryan Long(以下、ブライアン)氏に対して、日本のスタートアップ環境をテーマに、オンラインでインタビューを試みました。

ブライアンは、同社が持つ知見を「Hyper Island(以下参照)」でもパートナーとして生徒たちへ提供しています。

 

「Hyper Island」とは
「Hyper Island(ハイパー・アイランド)」は、デジタルテクノロジー人材の輩出を目的として、1995年にスウェーデンで開講した社会人向けの教育機関。現在は、アメリカ、イギリス、フィンランド、ブラジルなど世界各国に拡大している。学校運営と並行して、企業へのコンサルティングも行っており、「Google」「Netflix」「adidas」、日本でも「電通」などの企業をクライアントに抱えており、企業の切実なる変革の要請に応える活動を展開している。

Hyper Islandがアジア初の拠点として開講したシンガポール校には、GOB共同代表の櫻井亮も参画しており、デジタルアクセラレーションコースのとあるモジュール(クラス)で、ブライアンと出会ったことから意気投合し、今回のインタビューが実現しました。

なお、今回のインタビューは、デザインカンパニー「テイ・デイ・エス(以下、TDS)」のオウンドメディア「dd posts」でも同時掲載しています。こちらも合わせてご覧ください。

 

GOBメディア掲載の本記事では、特に日本のスタートアップ環境についての内容をまとめています。(聞き手:TDS・千和栄さん、GOB・櫻井亮)

 

写真左:GOB櫻井亮、右:TDS千和栄さん

ブライアン「日本人の完璧を求める姿勢は素晴らしい。だが、『完璧とは何か』が置き去りになっている」

──ブライアンは、日本のスタートアップ環境をどう見ていますか?

ブライアン 興味深いことに、「リーン」という言葉は日本のトヨタ式から生まれています。トヨタは、自社の生産プロセスから無駄を省くことを徹底しましたが、これをスタートアップ向けに体系化したものが「リーンスタートアップ」です。その点でも、日本人は正しく行うことに関して、本当に素晴らしく実行していると思います。最適化、時間通りに物事を進めること、そして完璧を目指すことに長けていると言えます。

一方で、完璧を目指そうとする中で、「何をもって完璧と言えるのか?」「何を行ったらよいのか?」という視点を忘れがちです。そこでリーンスタートアップが効力を発揮します。

 

Hyper Islandでの様子

ブライアン リーンスタートアップを日本式の生産に対する姿勢と組み合わせれば、とても強力なプロセスが生まれます。しかしながら悲しいことに、リーン生産方式、リーンエンジニアリングは精神的な指針の中で大きくなりすぎて、抜け出すことができない状態に陥っています。

確証がないもの、曖昧なもの、ボヤけたものをどう取り扱うか、どうやって検証やテストを行うのか、こうした考え方を持つ必要があるのではないでしょうか。

ルーツに戻りましょう。根源的に、物事は混沌としていて、ぐちゃぐちゃで、スタートアップは先のことを予測できません。ですから、リーンスタートアップとはある意味で、プロセスなのです。このプロセスはとても効力があります。ですからこのプロセスを享受しましょう。怖がらずに。長所を大事にしてゆくのがよいと感じます。このプロセスが得意な人は、スタートアップにたくさん起きる初期のイノベーティブなステージにぜひこれらを活用しましょう。そして様々な市場・お客様に対して自分たちの想いをスケールして行きましょう。

──完璧を目指すことはとても美しい。しかし、その「完璧」を検証することこそが大切だという指摘ですね。非常に興味深いです。

「失敗」を最大の学びにするため、プロセスの一部と理解すべき

──日本の起業家、新たなチャレンジを始めようとする若者へ、メッセージをいただけますか?

ブライアン 私は、スタートアップの起業家に「失敗することに慣れましょう」と伝えています。失敗は、汚いものではありません。と同時に、目的でもありません。失敗したくてスタートアップを始めるわけではありませんよね。

重要なのは、失敗がプロセスの一部であると理解することです。そして、失敗した時のマインドセットこそが大切なのです。

失敗した時には「どうすれば、この失敗が最大の学びとなるか」を考えてください。間違っても、お金を失ってしまった、私の力不足だった……などと落ち込み、自分の可能性を疑ってはいけません。

もし、失敗にいたる要素や不手際があったなら、他の人たちやお客さまから学んだり、オンラインでそれを乗り越えるための知見を手に入れましょう。インターネットの時代の素晴らしさは、情報が、個人の頭にあるのではなく、すべてオンラインのそこら中に存在しているということです。

何を学ぶべきかは、失敗した時にしかわからない

ブライアン 私のやり方ですが、もしも全く知らないことがあったとしたら、その分野の本を読みふけります。朝から熟読したら、午後までにはその分野のエキスパートになれるでしょう。

しかし、何をどのように学ぶべきかがわかるのは、「失敗」した時だけです。つまり、失敗とは学習プロセスの最初の一歩なのです。これを機に、十分な学びを得ることができれば、また成功の道を歩むことができます。

ですから、失敗を間違いではなく、プロセスの初期段階だと受け入れてください。データの観測ポイントの一つ、つまり一時的な落ち込みにすぎないということです。線をつないでいけば、それがただのトレンドにすぎなかったのだとわかります。

失敗した。2度目も失敗した……だからと言って悪いわけじゃありません。失敗に良いも悪いもなく、ニュートラルなものなのです。

ブライアン 失敗をした時には「ふむ、ちょっと待てよ。何かおかしいな」と立ち止まって考えましょう。この機会を逃してしまったら、気付く事すらできないかもしれませんから。立ち止まって、自分の持つスキルセットやマインドセットに失敗を引き起こしている要因がないかを振り返りましょう。

プロセスを振り返り、傾向を見て間違いを繰り返していることに気づけば、変わらなければいけないということに気付きます。それに気づけたら、メンターやコーチから、またはオンラインで、学びを得て、自分を向上させ、失敗を成功のための道のりに変えましょう。最終的に、あなたがありたい姿へと進んでいけるはずです。

──素晴らしいアドバイスと学びをありがとうございました。

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