ピボットを重ねて今は「ゲーム2周目」──こだわりは5年をかけてマーケットに刺さり始めた

ピボットを重ねて今は「ゲーム2周目」──こだわりは5年をかけてマーケットに刺さり始めた
Co-nect代表の中山友貴

ボディメンテナンスの提供で、企業の健康経営を推進するCo-nect。代表の中山友貴(なかやま・ともたか)は5年前の事業立ち上げから、幾度もの事業変更、ピボットを経て現在にたどり着いています。

「身を切るような気持ちだった」という決断と、これまでの道のりを聞きました。

Co-nect代表の中山に現在の事業展開を聞いたインタビューはこちら>

「このままだと、事業が終わるのは明らかだった」

私が初めて事業を立ち上げたのは2014年、大学3年生の時です。それから2016年4月にCo-nectをスタート。創業からの5年で、大小さまざまな事業変更やピボットを経験してきました。

2019年7月ごろにはそれまでのワークスペースとしての事業展開から、現在の「ボディメンテナンス」を軸とした事業へと舵を切ります。この決断は、本当に辛いものでした。

当時、Co-nectの会員数は減少傾向にあって、何回数字を弾いても、このままだと事業が終わるのは明らかでした。ただ、それでもまだ店舗に通ってくれている会員さんはいたんですよ。帰り際には「また来ます」って言ってくれる人がいるにも関わらず、ピボットを宣言するのは、本当に身を切るような思いでした。

既存のサービスを終了させることを決めてから1ヶ月くらいは、正直全く手が動きませんでした。次はどうするのか、ピボットしてまでCo-nectを続けることに意味があるのか、疑問を感じていたのです。

それからは、一緒に働いているメンバーや顧客とお話をするなかで、徐々に今後の事業の形と自分の思い描く世界観のすり合わせができるようになってきて、ようやく一つの突破口が見えてきて、なんとか今のサービスにたどり着くことができました。

ピボットは、こだわりを「捨てる」ではなく「集中させる」イメージ

GOB代表の山口はよく「こだわりを5%までダウンサイズさせたところにマーケットフィットがある」と言います。アイデア期にあったこだわりを、事業ステージを進める中でダウンサイズさせ、最終的にシード期の「リモデル」を経てプロダクトマーケットフィットが達成できるという話です。

図:GOB山口高弘が説明する「マーケットフィット

私がピボットを繰り返す中で気付いたのは、ダウンサイズとは、こだわりを「捨てる」のではなく「集中させる」ことなんだということです。事業を作る中でこだわれるポイントは無限にあって、こだわりはじめればキリがありません。本物のこだわりだけを抽出して練り上げ、洗練させるのが私なりの発見でした。

今回ピボットした、ボディメンテナンスサービスは、スタートしてから3ヶ月でで、ユーザー数は100人を超え、2020年4月には300人を超える想定です。まだまだこれからではありますが、少しずつマーケットにフィットし始めたという実感もあり、さらなる施策を実行していく予定です。

「まるでゲーム2周目」、5年の経験で変わった意思決定

こうした事業変更のプロセスって、ともすると周りからは遠回りに思えることもあるかもしれません。でもそう単純なものでもないと思うんです。仮に5年前の私が今の事業の形を見つけていても、間違いなく失敗しています。力不足で。

事業が成功するかどうか、半分は事業そのものに答えがあると思います。それはもちろんマーケット環境も関係していますし。

ただ一方で、もう半分は起業家の意思決定が鍵を握っていると思っています。今の自分は、ゲームの2周目、をプレイしている感覚に近いかもしれません。以前は意思決定をするときの選択肢が20個くらいあって、その中から熟考を重ねて選択していました。でも今は多くても浮かぶ選択肢は3つくらい。ゲームと同じで、2周目はどの選択肢は確実にないのかということがわかっているので、最初から検討すべき選択肢の数が絞られているのです。

もちろんゲーム2周目でボスが強くなるのと同じように、求められるサービスの質が上がったり、顧客の数や規模が大きくなったりすることはありますが、本質的にやる内容はそれほど変わらないので、そこで慌てることはなくなりました。戦い方がわかっている、といった感覚ですね。それでも後になって、切り捨てた選択肢の方が良かったなと思うこともありますが、確実にその精度は上がってきているように感じています。

事業は常に意思決定の連続ですから、選択肢が多すぎるタイミングでやっていたら間違った選択肢を選んで失敗していたでしょうね。5年前の僕の事業はそもそもマーケットすらなかったので、言ってしまえばゲームにすらなっていませんでした。

高解像度プロセスで広い視野で見れるように

GOBでは事業立ち上げのプロセス全体を10のステージ、34のステップに分解した「高解像度新規事業開発プロセスを公開していますが、これの元となる第1版を作ったのが、2017年の7月ごろでした。私も公開のタイミングで全体像を知りましたが、このプロセスを知ってから、いま事業がどの段階に位置しているのかを俯瞰的に把握できるようになりました。

多くの場合、アイデア段階で、事業を黒字化させるための方法を考えてしまうんですよ。私がまさにそうでした。もしこうしたプロセスを俯瞰できないままに短期的な利益を追求していたら、投資対効果の低い事業が出来上がって失敗していたか、または運よく投資などが入って事業が拡大するけど、事業の成長に対して起業家が置いてけぼりになっていたか、でしょうね。

事業を作る上では、各段階で必要な検証に軸足を置くことが大切で、これができるかは起業家の視野の広さが問われる部分だと思います。その意味で、この新規事業開発プロセスは私にとって視野を拡大するきっかけになりました。いわば「ゲームの攻略本」みたいな感覚ですね。


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