秋田の起業家「LocalQuest」高橋新汰の新連載がスタート:高橋新汰の起業冒険記

秋田在住の起業家、高橋新汰(たかはし・あらた)さんが、起業家修行の日々を書く新連載「高橋新汰の起業冒険記」が2021年7月からスタートします。

連載に先立ち、この記事では高橋新汰さんと、彼の事業「LocalQuest(ローカルクエスト)」について簡単に紹介します。

地方企業の人手不足と、選択肢がない学生たち

LocalQuestは、地方の学生の“情熱を育む”事業として立ち上がりました。同じく地方の課題である、事業者の人手不足に着目し、両者をマッチングすることでお互いの課題を解決します。

2019年12月の立ち上げから現在まで、秋田を中心に展開。2022年春の法人化を目指し、現在はGOB Incubation Partners株式会社の客員起業家として、事業実証を続けています。

客員起業家制度」とは、企業が起業志望者を社内に迎え入れ、給与を支払いながら事業実証を進めてもらう仕組み。起業家は安定した生活基盤を確保した上で、純粋に事業の価値を探求できる。

秋田の大学に通っていた高橋さんが肌で感じたのは、地方の学生の“つまらない”就職活動の実態でした。

大学で聞こえてくる「秋田はつまらない」「何もない」という声は、就活の時期になると「働きたくない」といった声に変わります。

理由の1つは、秋田において学生が働く上での選択肢の少なさ。求人サイトを見ても、秋田で募集がある職種は大手コンビニやスーパーなどが大半で、それ以外の職種での求人はかなり限定的です。

同時に、地方の企業も人手不足に悩みながらも、こうした学生にリーチできないといった課題を抱えており、両者がうまくマッチングできていなかったのです。

そこで高橋さんが立ち上げたのが「LocalQuest」でした。

LocalQuestが展開する2つのサービス

2019年12月の立ち上げからトライアルを続ける中で、現在は主に2つのサービスを展開しています。

なお、立ち上げ当初の事業や構想については2019年12月に公開した以下の記事をご覧ください。

秋田の24歳が提案する第3の働き方、バイトでもボランティアでもない「クエスト」:LocalQuest高橋新汰

1:ボランティアの求人広告

1つ目が立ち上げ当初から展開しているボランティアの求人広告です。LocalQuestが募集するボランティアの特徴は、「超短期(1日)」かつ報酬がお金ではなく「現物、体験」であること。

募集しているボランティアはさまざまで、羊の毛のクリーニングや茅刈り、お米の選別、地域のお祭りの運営補助といったその地域ならではの産業が並びます。

学生は、そうしたお金以外の魅力を求めてボランティアに応募します。

過去に募集したボランティア例

立ち上げから2021年6月まで20件以上の募集に、のべ200名以上の学生が参加しました。

「企業からは『1人だと骨が折れる作業だったので、学生が手伝ってくれて本当に助かった』」、また学生からは『普段できない経験をさせてもらった。農家や他の参加者との交流も楽しかった』などの声をもらっています。

今後は、秋田に限らず、他の地方での展開も視野に事業を進めています」(高橋新汰さん)

2:企業向けのインターンシップコーディネート

もう1つが、企業向けのインターンコーディネートです。

自社の課題解決に、学生のアイデアや考え方を取り入れたいと考えている企業は数多く存在します。そうした、採用目的ではない、企業の課題解決を目的とした学生向けインターンをコーディネートするサービスです。

インターンはおおよそ3ヶ月。その期間中、学生に対しては定期的なメンタリングを実施し、メンターとして企業の課題解決までの道のりをサポート。企業に対しては、その進捗を定期的に報告します。

文房具店のプロデュースや、ECサイトの運営、イベントの企画運営など業種や職種はさまざまです。

過去に募集したインターン例

「企業からは『思った以上に学生が活躍してくれて、非常に助かった。学生から学ぶことも多く、有意義な3ヶ月だった』など想定していた以上の価値を感じてもらえています。また学生も『学校では経験できない、実際の企業に触れることで、働くことへの理解が深まった』『特、物事を考える上での視点が学べたことが良かった。学校と社会ではまったく違った』などリアルな企業活動に触れることで学校とは違う刺激を得られているようです。

まずは秋田県内の企業にとって、インターンシップの実施が当たり前になるような状態を目指して、活動しています。」(高橋新汰さん)

連載第1回はこちら

秋田の金融機関や土木業に採用課題をヒアリング、新たな問いが出てきた:高橋新汰の起業冒険記