店舗拡大にビビる男が、2店舗目のオープンを決めるまで

連載「中山友貴、起業1年目の七転八起」は、2021年2月に設立した株式会社co-nect代表取締役の中山友貴(なかやま・ともたか)さんの起業家1年目からの日々を追いかけます。

co-nectとは
co-nectは、肩こりや腰痛などの不調改善から、日常生活をより快適にするための疲れにくいカラダ作りまでをサポートする「ボディメンテナンスサービス」を提供している。カラダに関する課題に対して、「バディ」と呼ばれる専任のトレーナーがマンツーマンで改善を手助けする。

現在は神楽坂の店舗とオンラインの両方を展開。またtoB向けにも健康経営の実現に向けたオンラインのフィットネスサービスを提供している。

co-nectの事業についてはこちらの記事もご覧ください。

“法人の死”が起業家に迫ったピボットの選択:co-nect代表 中山友貴さん

四半期に1度の経営会議の模様をお届け

こんにちは。co-nectの中山です。

2016年から客員起業家としてGOB Incubation Partners社内で事業を立ち上げ、2021年2月に法人化を果たしました。

客員起業家制度」とは、起業志望者が企業の中で、給与をもらいながら事業実証を進める仕組み。起業家は安定した生活基盤を確保した上で、純粋に事業の価値を探求できる点に利点がある。

法人化にあたっては、GOBからの創業出資を受け、これまでのメンター的な立場に加えて、投資家としての立場から、引き続き事業の成長をサポートしてもらっています。GOBとはco-nectの構想が浮かぶよりも前からの関係なので、僕にとって、GOBの人々はある意味で戦友のような存在です。

出資を受けたこともあり、現在は四半期に1度のペースで、GOBの役員との経営会議を実施することになっています。

まずは僕から「近況」と「今後の展望」を共有し、それに対してGOB側から「問い」をもらうという間です。

2021年6月末が、独立後2度目の経営会議でした。1度目は法人設立前後の手続きが主だったので、事業について話すのは実質これが1回目の機会です。今回は、そこでの話を紹介します。

店舗展開にビビる僕へ——山口さん「オンラインとオフラインで迷っているとか、この会議の時間、まじ無駄」

リモートでの経営会議。co-nectからは僕、GOBからは全役員(4人)が参加した。

経営会議では、まず20分弱で僕から近況と今後の展望を報告しました。

大きな論点の1つが、事業のオンライン化です。

現在、co-nectでは神楽坂の1店舗とオンラインでサービスを提供しています。しかし店舗のキャパシティやトレーナーの稼働率、コロナ禍での情勢を踏まえると、オンラインの拡大が時勢に合っていると判断し、オンラインを柱とした売り上げ拡大を目標にしていることを説明しました。

これに対して副社長の高岡さんから次のような指摘がありました。

高岡「店舗を拡大するという選択肢がある中でオンラインを拡大しようというのは、どういう意思決定から来ている?」

正直、迷っている部分でした。

これまでオンラインと実店舗の両方で事業の実証をしてきて、オンラインでは複数のパターンで実験をしたものの、想定を大きく下回る結果でした。

一方店舗については、コスト構造の見直しは必要ですが、ある程度スケールするための道筋はイメージできていました。しかし先行投資が大きくなるリスクを考えると、どうしても店舗の拡大路線には踏み切れず、オンラインに無理やり活路を見出そうとしていたのです。

続けて代表の山口さんからも、僕の意思決定の遅さに対して指摘がありました。

山口「co-nectってもともと多店舗展開していくモデルだと思っていて、1箇所でちまちまやっててもしょうがない事業でしょ。多店舗展開を前提で、そのためのコスト構造にしていかなくちゃいけない。そういうフェーズなので、もたついて、オンラインかオフラインかなんて言っている場合じゃないと思う。このままだと、検証という名の、意思決定しない状態が続いていく気がするよ」

過去にフィットネスクラブの事業立ち上げに携わっていた山口さんは、続けます。

山口「多店舗展開は、それができるようになったからするというものではなくて、最初から多店舗展開すると決めて1店舗目を出すんですよ。少なくとも2店舗目を出すときには、10店舗出す前提で2店舗目を出さないと。やるならそういう意思決定をしないと、このままちまちま改善しても、なんかね」

返す言葉もありません。

実は、co-nectがまだコワーキングスペースだった2018年頃、神保町に2号店をオープンしたものの、3ヶ月で閉じるという苦い経験がありました。

固定費がかさむことの恐さを痛感したし、たくさんの人の助けを借りてきたのに結果を出せなかったことへの申し訳無さもありました。もうこんな失敗はしたくないとの思いが強烈に残っていたために、自分の中で「店舗展開」の4文字を選択肢から消していたのです。

僕としてはコロナ禍という「時代性」を考慮して決断を下したつもりでしたが、その点についてもCFOの村上さんや山口さんから、甘さを指摘されました。

村上「世の中がオンラインだからそっちに行くって言う話ではない。オンライン1本って相当難しい」

山口「オンラインになった瞬間に、競争がグローバルになっちゃうじゃない? そうするとトップじゃないと勝てないんですよ。店舗とオンラインを並行してやるのもいけないわけではないけど、グローバル競争に飛び込んでどんどんリソースが削られていく中で、店舗とを本当に両方やっていくのか」

逃げ口上的に使っていたオンライン展開の甘さを見抜かれた形です。

決めあぐねる僕に対して、最後にはこのような言葉をもらいました。

山口「友さんが迷っているようなので、もう断言するけど、オンラインは止めて、2021年12月までに5店舗まで増やします。そのために仕組み化をします。例えば1.5年で投資回収するとしたら、そのためにどういう立地に出して、どれくらいの家賃、サービス単価で展開すればいいかがすべてわかってくるでしょ。そうすれば、おのずと初期投資をどれくらいに抑えないといけないかも出てくるはず」

「もうそういう世界に入っていくべきじゃない? それが経営者のやるべきことだと思う。オンラインとオフラインで迷っているとか、この会議の時間まじ無駄だと思うから、次はそこらへんの相談ができるようになったらええんじゃないかと思うよ」

まがりなりにもこの事業を4年やってきて、どうやったら黒字になり、逆に何をミスると赤字になってしまうのかは、何度も経験してきたからわかっています。あとは勇気だけでした。

最後は決めの問題とよく言われますが、意思決定をするための勇気があれば、自分が今持っているリソースを事業に投入できることを痛感しました。

9月に、2店舗目オープンします

経営会議での話を踏まえ、早速、店舗展開に向けたシミュレーションを開始しました。

目標は2022年3月までに3店舗、そして2023年3月までには20店舗です。直近では9月に新店舗のオープンすることが決定しました。

8パターンくらいの試算から、どこまでだと赤字になり、どこまでだと黒字化できるかもすべて検討し、イメージが鮮明になったことで、僕に足りていなかった意思決定する勇気が湧いてきました。

決まれば早いもので「立地条件の選定」「物件の内見」「契約の交渉」「内装、看板デザイン」「マーケティング」など……必要なことを1つひとつ進めていきました。

これを読んでるあなたの街にもco-nectを届けられるようにこれからも奮闘していきますので、ぜひ楽しみにしていてください。

あとがき

自分を正当化するつもりはないけど、最近、ビビってる自分への実感で大事だよな……とふと思います。

新しいことや未知に触れる時に、きっと人は大小問わずビビると思っていて、たぶんそれって久し振りの人に会う時でも感じるんじゃないかなって思います。

人間は、変化が苦手で常に一定に保とうとする恒常性というものがあります。体温とかもそれです。

だとしたら、きっと未知に触れている時、ビビってる時は、たぶん成長の兆しだったりして、ビビっている自分というのは、一生懸命、元の自分に戻ろうとしているのかなーって思うんです。

慣れないことやわからないことは確かに怖い、ビビる。だけど、やってみたら、そこからは既知の世界となって進化できる。新しい価値観が自分の中に生まれたりもする。

そんなことを思って前に踏み出すことが大事。だとしたら、今ビビってる自分もめっちゃ大事で、「ビビってるな自分」って思える日々を過ごせていたら、きっと今まさに成長の最中にいるんだと思います。

今、自分がビビれているか。こんな基準で生きてみるのもおもしろいかもしれません。